【Blog】うずしお鑑賞会

小さいころから“海”への憧れが強かった。

札幌で生まれ育ったので、海といえばとなりの小樽市の海水浴場。
でもわたしの憧れていた海のイメージは、そういう混んでいるビーチじゃなくて、貝殻やシーグラスが落ちている静かできれいな浜辺。
それと、ジブリの『崖の上のポニョ』に出てくるような、真っ青で躍動的な大海原。

釧路市に住んでいたときは、『ポニョ』で宗介たちが住んでいたような海が見渡せる坂道があって、毎回うきうきしながら車で通っていた。

今住んでいる函館は、いたるところから浜辺に出られるので、ビーチコーミングをしながらよく散歩している。心がおだやかになる上、海の生きものにもたまに出会えるので楽しい。

絵本や童話、児童文学も、やっぱり海が出てくるものにひかれる。これは今でも変わらず。

アイリーン・ハースの『わたしのおふねマギーB』は大好きな海絵本の一冊。

お姉ちゃんであるマーガレットが、まだ小さな弟・ジェームズを連れて、表紙の帆船で旅に出るお話。

ジェームズはまだなにもできないので、マーガレットがすべて一人でこなす。船内の掃除、船の手入れ、食事の支度、ジェームズの世話…。
マーガレットはてきぱき切り盛りしながら、船旅を楽しむことも忘れない。絵を描いたり、船歌をうたったり、バイオリンをひいたり、もう悠々自適。

途中で大嵐も来て、それを乗り越えるさまも堂に入っていてかっこいい。
帆をくくったり、いかりを下ろしたりしたあと、船室に駆け込んで、ドアを勢いよく閉める(ここが、読むたびにかっこいいと惚れ惚れ)。
そして、ランプの灯りのもと、ゆったりと夕食をつくりはじめるのだ。

手ごねマフィンに、桃にシナモンと蜂蜜をかけて焼いたデザート、それに昼間から煮込んでいた、野菜と魚介のとろとろシチュー(もちろん魚介は自分で釣ったもの!)

最後は、ベッドで眠につくシーン。
「マギーBのいちにちはおわりました」という文言で終わるので、「えぇ、帰ってこないの?」と心配になってしまうのだけど、たぶんこれは夢の中のお話。
『かいじゅうたちのいるところ』みたいなものだと思う。

船で旅に出るというだけでドキドキなのに、幼い女の子が全部自分の力でやりのけちゃうところが、このお話のいちばんの魅力。
こういう、なんでも自分でやってみたい!という気持ち、小さいころ一度は抱くと思う。そういう気持ちを、想像力いっぱいにえがきだした絵本だ。

航海といえば、『ナルニア国ものがたり』の3作目「朝びらき丸 東の海へ」も印象深い。『ナルニア』は1巻の次に、3巻が記憶に残っている。

わたしは海外ファンタジーがあまり得意じゃないので、『ナルニア』は最終巻までずっと怖い怖い、と思いながら読んだ。
朝びらき丸での航海も、怖さのほうが勝っていて、ルーシィのたくましさがうらやましかった。

中川李枝子さん『いやいやえん』の中の一編、「くじらとり」は、今でも大好きな童話。
「ちゅーりっぷほいくえん」の園児たちが積み木などでこしらえた船(ぞうとらいおんまる)に乗りこんで、くじらを捕まえにいくごっこ遊びをするお話だ。

わたしも小さいころ、折り畳み式のテーブルを逆さまにして、下にクッションをかませて、その上に乗ってグラグラと航海する遊びが好きだった。ちゅーりっぷほいくえんの子どもたちの興奮、熱中する気持ちがよくわかった。

ジブリ美術館でアニメーションになったものを観たときは嬉しかったな。まだ観られるのかな?

ところで、息子たちはというと、あまり船や海にまつわるごっこ遊びはしてこなかったように思う。家でも、二人が通った幼稚園でも。
だいたい海辺の街で育ってきて、旅先でも海に行くことが多かったので、海への憧れはあまりなさそう。

そんなことを考えながら夕食を作っていたとき、お風呂から「お母さん、見て〜!」と次男の呼ぶ声が(こうやってしょっちゅう呼ばれる)

はいはいと向かうと、仰向けになる形で浴槽に沈んだ次男(水中メガネ着用済み)が、両手人差し指をくるくる激しく回していた。

よく見ると、お湯のなかに2つのうず巻きができている。

ざばっと顔を出した次男に「すごいね。うずしおができてたね!」と言うと、喜ばしげ・満足げな様子。水面下に沈んだ次男側からも、うず巻きが見えるんだそうだ。
海にまつわる遊びもいろいろあるものだと、ちょっと面白く感じた。

――それからは毎日、うずしお鑑賞会が開かれるようになった。

どんなことにも上達あり。だんだん大きなうずしおも作れるようになってきた次男。いつか本物のうずしおを見に行きたいねと言い合った。

海にはいくつもの顔があって、いろいろな形でわたしたちの想像力を喚起してくれる。
だから、実際の遊びも、ごっこ遊びも、子どもたちは自由自在に楽しむ。

海を題材にした絵本や童話が多いのも、きっとそういう理由だ(わたしもまだまだ思いつくし、お気に入りを挙げることができる)
これからも海にまつわる作品にひかれると思うし、わたし自身もいつか書けたらいいな。

※【本棚】ページであらすじなどをご紹介しています

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