1月23日発売『ふたりのマンガ線』のこれまでの過程を振り返る、ルックバック企画です。
児童書の執筆を始めたときのことから、記録しておこうと思います。ご興味があればおつき合いください。
わたしは、2023年の春ごろ、急に思い立って児童書の執筆を開始しました。
ただ、そのとき初めて、文章を書くことと向き合ったのではありません。童話は小1から書いていて、中学時代はエッセイが好きで日記のようなものをつけていました。小さな賞をもらったり、先生にほめてもらったりすることがたまにあり、文章を書くのは好きだし、ちょっとだけ得意だと思っていました。
高2の進路調査では、ドキドキしながら「作家」と書いて(担任の先生を信頼していたので、初めて打ち明けられたんです)、大学の文学部に進学。
でも、技術も読書量も、経験も足りないと思い知るばかりで、一作もまともに書き上げられないまま卒業を迎えました。
同世代の綿矢りささん、金原ひとみさんが芥川賞を受賞された時期で、お二人の活躍が華々しく、自分なんかがとても…と諦めてしまったのもあります。
そんな卑屈に思わないで、一作くらい書いてみればよかったのに。無駄にはならないよ!…今ならそう思えるのですが、当時はとてもしんどかったのです。

短編集『海の鳥・空の魚』は、今でも大切な一冊です。
趣味として読書を楽しんでいけばいい。自分をなぐさめて、地元企業に就職しました。
幸運なことに、たまたま担当になった社内広報の仕事が面白くて(取材のため全国を飛びまわり、記事を書いていました)、作家を目指していたことは、だんだんと頭の隅っこに追いやられていきました。
その後、結婚して子育てに追われる日々がやってきます。夫の転勤先で暮らしてきたので、周りに頼れる人がいない中での育児。
助けてくれたのが、絵本や童話などの「児童書」でした。
長男と次男は絵本に興味をもってくれる子だったので、たくさんの絵本を買って、一緒に読みました。今でもたくさん並んでいる絵本はわたしの宝物です。
供給が追いつかなくなると(笑)、図書館にお買い物カートを持っていって、家族全員の図書カードで40冊借りてくるようになりました。初めて読んだ日、タイトルと作者・出版社名を簡単に記録をしているのですが、数えると4000冊を超えていました(兄弟での重複を含みます)
大人の琴線にも触れる絵本がたくさんあって、息子だけでなく、親のわたしも楽しんだり癒されたり…。その日大変なことがあっても、寝る前に絵本を読むだけでふっと心がゆるみます。また明日頑張ろうと、気持ちを明るくすることができました。
絵本ってすごい。もっと児童書のことが知りたい!
そう思って調べて受講したのが、小樽市にある絵本・児童文学研究センターの基礎講座でした。

この講座は、生涯学習として児童文化の世界を模索するもので、児童書だけでなく、発達心理学、深層心理学、哲学、歴史など、さまざまな視点からアプローチします。児童文学作品もたくさん読み込みました。
講座で理解を深め、長男とバトンタッチするように、次男とたくさんの絵本を楽しむ日々…。
それは、カミナリのように、突然やってきました。
2023年春、急に「わたしも子どもが楽しめる物語を書きたい! 今なら書ける気がする!」そう思ったんです。
きっと読み聞かせを通して、たくさんの“物語”がわたしの中を流れ、いつのまにか泉のようにたまっていたのだと思います。
その年は、絵本テキスト大賞、創作童話・絵本・デジタル絵本コンテスト、講談社児童文学新人賞の3つの賞に応募。
創作童話・絵本・デジタル絵本コンテストで、『かわうそクッキーへようこそ』という作品が賞をいただきました。
『かわうそ』は年長〜小学1・2年向けの幼年童話なのですが、とっても可愛くて面白い(自画自賛です 笑)お気に入りの作品。お話を考えているときから、楽しくて楽しくて! 久しぶりの感覚でした。
小1だった次男に聞かせてあげたいなと思うお話を書いて、目にとまった絵本テキスト大賞にすぐ応募しました。箸にも棒にもでしたが、たくさん修正して、再挑戦した上での受賞でした。
2024年2月、電話でお知らせいただいたときは、本当に嬉しかったです。
まだまだ書きたいことはたくさんある。3年を目処に、チャレンジを続けてみようと決めました。
そのとき、初挑戦の児童文学『トビウオはにげるためにとぶんじゃない』が推敲段階でした。ほぼ勢いだけでプロットも立てず書いた作品です。締め切りギリギリまで校正して、3月末に講談社さんに送りました。
そしてすぐに気持ちを切り替え、次の目標であるフレーベル館ものがたり新人賞に向け、『ぼくたちのコミック・デイズ!』(改題し『ふたりのマンガ線』となりました)に着手しました。
そのときわたしは、講談社さんとフレーベル館さんの新人賞に交互に応募しようと、計画していました(このときは、フレーベル館ものがたり新人賞が隔年開催だと気づいておらず)
2つに絞った理由は、募集時期がずれていたことと、出版社が主催している貴重な児童文学の賞だからです。
『トビウオ』は何度か行き詰まったので、次の作品は最後まで楽しみながら書けそうなモチーフを選ぶことにしました。それが元々好きだった「マンガ」でした。
また、構成もできるだけシンプルな、一本の流れになるようにしようと決めました。
今思うと、この2つの微修正が功を奏したのだと思います。
そうして執筆に邁進していた夏のある日、ふいに講談社さんから電話がかかってきます。
長くなってきたので、②に続きます!

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