【Blog】フレーベル館ものがたり新人賞が終了

東京に引っ越してきてもうすぐ3週間。函館にいたときより静かな環境で驚いている。

最初の10日くらいは大変だったものの、子どもたちの新学期が始まると同時に、凍っていた雪壁がとけ、ちろちろと水が流れ出す感覚。少しずつ、日常が流れはじめた。

思いつきで桜を見に行った井の頭公園は、想像以上の混雑にびっくり。
この写真もピンチインすると、人がひしめいている。

新しい小学校に緊張していた次男。転校初日に迎えに行くと、「友だちと帰るから、お母さんひとりで帰って!」とにっこにこの笑顔。
その日から、放課後は児童館でクラスの子たちと遊ぶようになった。これまではそういう環境にいなかったので、自由に遊びに行けるのが楽しいらしい。

そんなおり、突然もたらされた重大ニュース。
フレーベル館ものがたり新人賞が2026年3月をもって終了したとのこと。

受賞から出版にいたるまで、この賞に応募して本当によかったと思うことの連続だった。もし受賞できていなかったとしたら、第6回を次なる目標として書いていたはず。すごくさみしいし、残念だなと思う。

最近はネットでもテレビでも、「紙の本」の苦境を知らせるニュースばかり。児童書にまつわる賞も少しずつ減っている。
いろいろなことが相まって、この一週間心の中がざわついていた。

紙の本は、これからどうなってしまうんだろう?
漠然とした不安を抱えるわたしの横で、ショート動画を見続ける息子たち…。「本」が本棚からあふれ出る家で暮らしているのに。
YouTubeなどから遠ざけるのは簡単じゃない。子ども同士の世界もあるし、大人だってもうスマホを手放すことはできないから。

絵本・児童文学研究センターの講義で、「膨大な流動刺激の文化の中で、絵本は防波堤」と聞いた。
工藤先生のおっしゃる「流動刺激」はテレビを想定していたと思うけれど、それが今ではアルゴリズムによって、だれが作ったかわからない動画の大洪水状態。とくにショート動画は頭が痛い。

息子たちへの読み聞かせを通して、「絵本が防波堤」は実感した。
絵本を楽しめる子には童話への橋渡しがしやすいし、科学や歴史など興味に合った読み物の本や学習漫画に移行する子も多い。
次男のように物語や昔話をどんどん読みたがる子もいれば、長男のように『コロコロコミック』など月刊漫画に寄り道する子もいる。

親によるコントロールなんてすぐにできなくなるので、YouTubeやオンラインゲームの世界にも行ってしまうけれど、必要なときには読書の力も享受できる人になってほしい。
読まないと、読めないはちがう。やっぱり小さいころからの読書体験は大事だと思う。

先日、今度は十代のマンガ離れを指摘する記事が話題になった。
マンガは、読む力も想像力も育てることができる、小学生向けの防波堤といえるかもしれない。

『ふたりのマンガ線』で「マンガ」を題材に選んだのは、その表現形式について伝えながら、紙の本の魅力(読み手・作り手の両面から)を思う存分書きたかったからだ。

それも、大人になってからでも手に取りやすい『ジャンプ』などではなく、『コロコロコミック』『りぼん』『ちゃお』など、小学生時代に読むからこそ楽しい、毎月発売されるマンガ雑誌の魅力に焦点を当てたかった。

気軽に何度でも楽しめるマンガ、じっくり読むことで深い感動を味わえる物語の本。
2つの間にはしごをかけることで、子どもたちに、すべての紙の本の良さを伝えられるのではないかと考えた。

マンガも絵本と同じで「絵」があるので、文章だけでなく、登場人物の表情からも気持ちを読み取ることができる。楽しみながら能動的に読むので、語彙も増える。
一回読んで終わりでなく、好きなマンガは同じページを何度読んでも楽しい。その点も絵本と同じだ。

加えて、次号の発売を楽しみに待つ、という経験も大切なのだと思う。待ちきれなくて繰り返しページをめくっては、セリフや表情から、次の号の展開を予想する。これは月刊誌ならではの面白さ。

そういえば、高校生のとき、恩田陸さんが『上と外』を文庫で6冊くらい毎月? 隔月? でどんどん出すというのをやっていて、めちゃくちゃ面白くて発売日を楽しみにしていた。

最後のほうはちょっと遅れたりして、早く続きが読みたいよ〜 先生頑張って〜!と、本屋さんの発売延期を知らせる掲示の前で悶絶(笑)。小説であんなに発売を待ち焦がれたのは、あれっきりかも…?

夢中になってページをめくったり、続きを想像したりする経験が、次の本に手をのばす原動力になっていく。
フレーベル館さんの「次なる周年事業」ってなにかな? と期待しつつ、わたしも自分にできることを頑張っていこう。

『上と外』は中学生の兄妹視点で描かれるサバイバル小説。中学生くらいから楽しめそう。
長編ですがハラハラドキドキの連続で、最後まで一気に読んでしまうと思います。ジャガーが恐ろしいです(笑)。ぜひ!

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